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乳がんの早期発見のために知っておきたいこと。
 
乳がんの基礎知識
増えている乳がん

日本では、乳がんが急激に増加しています。1999年には乳がんは日本人の女性のがんの中で胃がんを抜いて大腸がんに次ぐ患者数となり、第2位となっています。2006年現在では4万人を越える人が乳がんにかかったと推定されています。
2006年の女性の死亡数を見ると、乳がんは大腸、胃、肺についで4位ですが、1年間の死亡者数は1万1千人を越え、特に壮年女性層に限ると1位になっています。この様に、乳がんは、日本女性の最も注意しなければならないがんになっているのです。
それでも、乳がんの多い欧米に比べると、日本はまだ1/3~1/4に過ぎません。ただし欧米では、乳がんの患者数は依然として増加しているものの、死亡率は1990年代に入って減少しはじめているのです。このことは、私たちの見習わなければならない点ですが、これは、マンモグラフィ検診による早期発見と徹底した再発予防のための薬物治療が行われるようになったことが原因です。
癌研乳腺外科入院手術数も年々増加し、2006年には年間1166例(このうち原発乳癌は961例)に達しており、1945年から2006年までの原発乳癌に対する手術数は20,000例を越えています。
患者さんの年齢分布は1990年代まで40歳台後半が一番多いとされていましたが、2000年になると欧米と同じように閉経後の乳癌が着実に増加しており、50歳台を中心とした年齢分布に変化してきています。
 
乳がんの症状

乳房には、お乳を産生して運ぶ乳管という管が放射線状に走っています。乳がんの大部分は、この乳管(乳管上皮)から発生します。
がんは、早期には症状に乏しく、がん特有の症状がないのがふつうです。そのため、発見が遅れることにもなりやすいのですが、乳がんの場合は体の表面に近いので、外から触れたり、形の変化などから、がんを捕らえることができるのが、大きな特徴です。
まず、乳がんは5ミリから1センチぐらいの大きさになると、自分で注意して触るとシコリがあることがわかります。シコリはむしろ、乳腺症などがんではない場合の方が多いのですが、痛みのないシコリは乳がんの特徴のひとつ。シコリを見つけたら、病院で検査を受けるべきです。さらに、乳がんが乳房の皮膚近くに達すると、エクボのようなくぼみやひきつれができたりします。

 こうした乳房の変化をとらえるために、ぜひ実行したいのが自己検診です。  女性の場合、生理周期にともなって乳房の状態が変化します。そこで、月経が終了して1週間後ぐらいを目安に、自分の乳房をチェックする習慣を付けましょう。閉経後は、たとえば自分の誕生日の日付けに合わせるなど月に一度チェック日を決めておきます。こうして、自分の乳房のふだんの状態を知っておくと、異常があった時にすぐにわかるのです。
自己触診は、目で乳房の状態を観察することと、手で触れて乳房や脇の下のシコリの有無をみるのが基本です。鏡に向かって立ち、両手を下げた状態と上げた状態で、乳房の状態をチェックします。具体的には、

・ 乳首が左右どちらかに引っ張られたり、乳首の陥没やただれがないか。
・ 乳房に、エクボのようなくぼみやひきつれがないか。
・ 乳首を軽くつまんで、血液や分泌液が出ないか。

といった点に注意します。さらに、乳房を手の指の腹で触り、シコリの有無をチェックします。指をそろえて、指の腹全体で乳房全体を円を描くように触ります。乳房の内側と外側をていねいにさすってみましょう。腕を下げたポーズと腕を上げたポーズで左右両方の乳房をチェックします。

乳房のシコリの有無、さらに脇の下にグリグリ(リンパ節の腫れ)がないかどうかもチェックします。

 慣れてくると、小さなシコリでもわかるようになります。乳腺炎や乳腺症など、乳がんと同じようなシコリを作る病気もありますが、素人判断は禁物です。また、専門家によって自己触診では見つからないようながんが発見されることもありますから、定期検診を忘れずに受けましょう。

 
乳がんの検査

乳がんは乳腺外科、あるいは外科で専門的に扱う場合がほとんどです。
検査は、視診と触診、さらにマンモグラフィが中心ですが、超音波検査(エコー)もよく利用されています。

■マンモグラフィ(まんもぐらふぃ)

 乳房用のレントゲン検査で、早期乳がんの発見率を向上させた立役者といってもいいでしょう。乳房全体をプラスチックの板などでをはさみ、左右上下方向からレントゲン写真をとります。乳房のシコリだけではなく、石灰化像といって、シコリとして感じられないような小さながんの変化も捕らえることができます。この段階で発見できれば、乳がんもごく早期であることがほとんどです。それによって、乳房を残したままがんを治療することも可能になるのです。

 残念ながら、まだ日本では乳がん検診にアメリカほどマンモグラフィが普及していません。検診は、触診や視診だけではなく、マンモグラフィの検査が含まれているかどうかを確認した方が安心です。

■超音波検査(ちょうおんぱけんさ)

 超音波を発する端子を乳房にあてて、その跳ね返りを画像にするものです。痛みなどはなく、患者にとっても受けやすい検査です。超音波検査でも、自分ではわからないような小さな乳がんを発見することが可能です。

 さらに、シコリや石灰化像などがんが疑われる兆候が発見された場合には、良性かがんかを判断する検査が行われます。従来、穿刺吸引細胞診、針生検(コア針生検)や切開生検が中心に行われていましたが、最近マンモトーム生検という検査法が登場し、注目されています。

■穿刺吸引細胞診(せんしきゅういんさいぼうしん)

 注射針をシコリに刺して一部の細胞を吸引してとり、顕微鏡で細胞の形などを調べる検査です。患者さんの体への負担が少ないのが利点ですが、とくにシコリに触れないような小さながんなどは、この方法では診断できないことも少なくありません。

※ 針生検
  少し太めの針(コア針)で局所麻酔をして、組織を取り出して調べる検査です。患者さんの体への負担が少ないのが利点ですが、病変が小さい場合は、何度も刺す必要があったり、場合によっては、診断がつかないこともあります。

■切開生検(せっかいせいけん)

 乳房にメスで切開を入れ、がんと思われる部位の組織を一部とってきて、顕微鏡で調べる検査です。穿刺吸引細胞診や針生検で、確定診断ができない合に行われてきましたが、外科手術になるので、患者さんの負担が大きいのが欠点です 。

■マンモトーム生検(まんもとーむせいけん)

 超音波やマンモグラフィで見ながら、疑わしい部分に針(マンモトーム)を刺して、自動的に組織の一部を吸引してきます。これを、顕微鏡で検査します。広範囲の組織がとれて、切開生検より傷が小さく、縫合などの必要がないのが利点です。とくに、シコリとして触れない小さながんや石灰化の段階のがんの診断に力を発揮します。

 また、転移の有無を調べるには、胸や骨のレントゲン検査、CT、超音波検査、アイソトープ検査などが行われます。